■そして,クレジットカードナンバー・ジェネレーターのように,私の存在を偽る存在も現れる。■そんなことは当然のことで,最初から私はひとりぢゃない。偽りの存在,疑似の存在も含めて,私は生き続ける。
日立製作所社が開発した0.4ミリ角のチップ「ミュー」は,現在の社会を大きく変える可能性を秘めている。ミューチップはあらゆるものに折り込まれ,貨幣などの偽造を防ぎ,そのものの位置を確認できるようになる。私たち自身もネットワークに存在することになり,その新しい世界で生きることになるのかもしれない。
■私たちは,常に「見られる」ことを欲している部分がある。ナルシストとかそんな話ではなく,常に誰かに求められることを望んでいる。ピアトゥピアはその意味で,人が望む最終形態のものだ。■ワイヤード上に「存在する」ということは,意外と簡単だ。東京ドームに5万人が集まってても,誰もあなたを見てはいないが,2chに書き込みをすれば,数万人が必ずそれを読む。そこにあなたは存在する。
■ピアトゥピアとは,個々が固定のIPアドレスを所有している世界だ。これは,あなたの氏名,住所,年齢などよりも,より明確であり,確証となる。■そして,あなたの所有物もすべてIPアドレスを保持する。アドレスは物質であることの証明だ。■だがこれは,管理社会のはじまりではない。誰が私の持っているジャックナイフを管理したがるだろうか? これまで国家が行ってきた管理を,ワイヤードに棲む神,の,ようなものにゆだねる必要がある。いや,それ以外に,管理できるものなど,いないのだ。
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